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アメリカやヨーロッパを中心とした、CBD市場の拡大は世界的なトレンドになりつつあります。日本でもCBDへの関心は、美容や健康といった市場で高まっています。医療や美容、健康など幅広い分野での利用が期待されているCBDの効果についてご紹介していきます!
CBD(カンナビジオール)とは
CBD(カンナビジオール、英:Cannabidiol)とは、植物の大麻で生成されるカンナビノイドと呼ばれる成分の一つです。大麻由来と聞くと「麻薬」を連想されるかもしれませんが、CBDは
「陶酔」や「ハイになる」といった症状を引き起こさない成分です。また、WHO(世界保健機関)でも安全性と一定の効果、効能があることが報告されています。
医療、美容、健康といった幅広い分野での効果が期待されており、アメリカ・ヨーロッパを中心に効果を利用した数多くのCBD製品が販売されています。
アメリカでは大麻由来の成分(CBD)を利用した医薬品として初めて「エピディオレックス(Epidiolex®)」が、国から認可され、難治性のてんかん治療薬として処方されています。
CBDを生成する大麻とは?
CBDを生成する「大麻」とは中央アジア原産の植物であり、日本でも縄文・弥生時代より、神社のしめ縄、着物の麻模様、薬として歴史的に使用されてきたものです。
「大麻」は「マリファナ」「ヘンプ」「カンナビス」などさまざまな意味・名称がありますが、この記事で意味するものは「植物としての大麻」です。
アサ(麻、英名Cannabis)は、学名カンナビス・サティバ (Cannabis sativa)といい、中央アジア原産とされるアサ科アサ属で大麻草(たいまそう)とも呼ばれる、一年生の草本である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 「アサ」より
CBDは大麻由来のものとヘンプ由来のものがありますが、現在CBD製品に使われている多くのものはヘンプ由来のものになります。
※ヘンプについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。
CBDはカンナビノイドの一つ
カンナビノイドとは大麻の中に含まれているCBDといった成分の総称であり、113種類以上もあると言われています。 CBDはカンナビノイドに分類される一つの成分であり、大麻の抽出物の計40%までの割合を占めることもあります。
CBD以外に、大麻の主要なカンナビノイドとして知られているものにはTHC(テトラヒドロカンナビノール)があります。
一般的にはカンナビノイドは大麻から抽出される植物性カンナビノイドの事を指しますが、
カンナビノイドには大きく分けて下記の3つの分類があります。
- 植物性カンナビノイド(Phytocannabinoid)
植物性又はフィトカンナビノイドと呼ばれるもので、 その名の通り天然・植物由来のカンナビノイドとなります。 CBDやTHCはこちらに分類されます。 - 内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド、Endocannabinoid)
エンドカンナビノイドまたは内因性カンナビノイドと呼ばれるもので、 体内で合成されるカンナビノイドです。 - 合成カンナビノイド(Synthetic cannabinoid)
合成カンナビノイドと呼ばれるもので、CBDやTHCなどの分子構造をもとに人工的に作られたカンナビノイドを指します。 合成カンナビノイドは医薬品などに使用される一方で、日本ではいわゆる危険ドラッグ として使用されていたことがあります。
※カンナビノイドについて詳しく知りたい方はこちらの記事を合わせてお読みください。
CBDの効果とは
CBDの人への効果や効能、どのように身体に作用するのかについては、世界各国でさまざまな研究や臨床試験が、現在も行われています。
CBDの効果は医療、美容、健康と幅広く、また、植物由来であることから、副作用が少ないことも注目される理由です。
下記はCBDの効果、効能として期待されている一部と関連する疾患になります。
- 抗不安
全般性不安障害(GAD)、社会不安障害(SAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など - 抗菌
- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
多発性硬化症、関節リウマチ、大腸炎、肝炎など - 骨組成の促進
- 発作とけいれん
ドラべ症候群、レノックスガストー症候群などの難治性てんかん - 血糖値の低下
- 食欲抑制
肥満など - 免疫抑制
関節リウマチ、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎など - 神経保護作用
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など - がんの成長を阻害する
- 疼痛緩和
関節炎、多発性硬化症、片頭痛など - 血管弛緩作用
- 悪心、嘔吐の減少
がんの化学治療やエイズ治療の副作用の緩和 - 皮膚病
乾癬、アトピー性皮膚炎、ニキビなど
上記のようにCBDの効果は数多くあるとされていますが、あくまでも初期の研究や調査により、効果の可能性を示唆されているものです。
言い換えればこれらは、大規模な臨床試験を用いて実証されたものではありません。
しかし、CBDの効果は実証されていなのに、なぜここまでCBDが注目されるのでしょうか??
シャーロット・フィギーとCBDとドラべ症候群
CBDの効果が注目されるきっかけとなった一つに少女とCBDの物語があります。
それは、アメリカで2013年にCNNよって放送された、「シャーロット」と名付けられた少女の、重度の小児てんかん症状と、その治療を追った「Weed」というドキュメンタリ―です。
シャーロットは生後3カ月から、日本でも難病指定されているドラべ症候群を抱えており、週に300回という深刻な発作が起きていました。発作により普通の生活をすることは厳しく、この病気はてんかんの中でも死亡率が最も高く、長く生きられるかわからない状態でした。
さまざまな治療法を試すも、選択肢がなく、藁にもすがる思いで両親はシャーロットの治療に医療大麻の使用を決めます。治療に使用した医療大麻は当時では非常に少なかった、「高濃度のCBD」が含まれる品種でした。これがシャーロットの症状に効果を発揮し、ドラべ症候群の発作が大幅に改善されました。その後シャーロットは普通に生活をすることができるようになり、現在(2019)は13歳になっています。
このシャーロットの事例は医療大麻やCBDに注目が集まり、医療大麻やCBDに対する人々の考えや法律が変わるきっかけとなりました。
その後、ドラべ症候群などの難治性のてんかんへのCBDの効果については、大規模な臨床研究が行われ、CBDの持つてんかんへの治療効果が実証されました。これにより国の認可を受けてCBDを利用した「エピディオレックス(Epidiolex®)」と呼ばれる医薬品がアメリカなど複数の国で販売されています。
※ドラべ症候群とCBDについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。
事例証拠は医学的には信用がない
一般的には事例証拠は下記のように定義されます。
「実際に起こった事例に基づいた信頼しうる証拠」という意味ではなく、むしろ正反対の意味に用いられる。根拠に基づく医療のような科学的根拠の反対語として使われることが多く、科学的根拠は形式的な証拠とされる。事例証拠の性質上、科学的方法を使った調査ができない場合があり、科学的証拠としての資格が得られない場合がある。事例証拠の誤用は一種の誤謬である。事例証拠は典型例とは限らない。何が典型的かは統計学的により正確に決定される。
「事例証拠」Wikipediaより引用
これをもとにすれば、事例証拠は当人が体験を主観的に報告したものであるため信頼性が無く、医学の世界では信用されていません。
しかし、実際にはシャーロットの例のような事例証拠もあり、これらの患者や消費者による体験が法律や研究、医薬品の開発を牽引してきたという事実も理解しておく必要があります。
CBDがどのように身体に作用するのか
CBDが身体にどのように作用するのかということについては、風邪を引いたときに使用する「薬」が身体に作用する仕組みをイメージするとわかりやすいです。
具体的にはCBDが体内のさまざまな器官や肌に存在する「受容体」というものに相互作用し、その効果を発現します。
※CBDが作用する仕組みについて、詳しくはこちらの記事をどうぞ
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