CBDの100倍の効果がある!?酸性カンナビノイド「CBDA」とは

Cannabis

日本でもCBDへの関心は日に日に高まっており、健康や美容に関わる多くのCBD製品が市場で見られるようになってきました。

世界では大麻に関する法改正や評価の見直しが進むに比例して、CBD以外のCBGやCBNといった他のカンナビノイドにも注目が集まっています。

その中でもCBDの前駆体であるCBDAによる効果も期待されており、その作用はCBDの100倍にもなる可能性があるとの研究報告もあります。

そこで今回はCBDの前駆体である「CBDA」についてご紹介していきます!

CBDA(カンナビジオール酸)とは

CBDAはCannabidiolic Acid(カンナビジオール酸)の略称であり、大麻によって生成されるカンナビノイドの1つです。

CBDAは、特に大麻のCBDを多く含む品種の成熟前の大麻に豊富に含まれ、成熟するにつれて時間の経過、熱、紫外線にさらされると、大麻に含まれる主要なカンナビノイドの一つである、CBD(カンナビジオール)に変換されます。その為、CBDAは収穫された直後の「新鮮で生」の大麻に多く含まれています。

これまでは、CBDAがCBDに変換しない限り、さまざまな症状の治療や緩和への利点はないと考えられていました。しかし、近年CBDAの潜在的な効果に注目されるようになり、CBDと同様に研究が行われています。

CBDAを配合している製品は、トピカル(外用薬)、カプセル、オイルなど様々ありますが、アメリカなど、CBDAに注目している消費者の中には、植物の大麻を収穫し、「生絞りジュース」のように摂取している人もいるようです。

CBDA、CBD、THCといったカンナビノイドは、私たちの体の器官と相互作用することにより、痛み、不安の緩和から陶酔感など様々な効果を発揮するとされ、これらの物質は医療用、嗜好用として利用されています。

CBDAはCBDと同じく向精神作用はありません。また、大麻で合成される主要なカンナビノイドの一つであるTHCには向精神作用がありますが、その前駆体であるTHCAは向精神作用はありません。

※カンナビノイドについてはこちらの記事を合わせてお読みください。

CBDAはどのように生産されるのか

CBDAは、前駆体であるCBGA(カンナビゲロール酸)から、「シンターゼ」と呼ばれる酵素の働きによって変換されます。

CBGAは「カンナビノイドの母」とも言われており、主要なカンナビノイドの前駆体です。このCBGAが大麻植物に存在する酵素によって主に3つの前駆体に変換されます。

  • THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)
  • CBCA(カンナビクロメン酸)
  • CBDA(カンナビジオール酸)

これらの物質は大麻が成熟していく段階で、熱や光、時間の経過によって、脱炭酸と呼ばれる化学反応が起こり、分子が酸性カルボキシル基を失い、CBDAはCBDに、CBCAはCBCに、THCAはTHCに変換します。

前駆体とは

前駆体とは化学や生物学などで使われる用語の一つです。前駆体とは漢字でもわかる通り、ある化合物になる「前の段階」の物質を表します。

カンナビノイドを例にすると、この記事のテーマである「CBDA」は「CBD」の前駆体であり、「THCA」は「THC」の前駆体となります。

これらの前駆体には最後にAの文字がついていますが、これは「Acid=酸」であり、カルボキシル基という分子を持っています。また、このようにカルボキシル基を持つCBDAやTHCAなどのカンナビノイドは酸性カンナビノイドと呼ばれることもあります。

酸性カンナビノイドはCBDやTHCの前駆体ではありますが、これらの成分による作用は同じではありません。つまりCBDAとCBDの作用、効果は違うということです。

CBDAに期待される効果

これまでCBDAおよび他の酸性カンナビノイドには薬理学的な効果はないとみなされ、CBDAに関する研究は多くはありませんでした。

その一因は、通常CBDやTHCといったカンナビノイドはエンドカンナビノイドシステム(ECS)に影響を与え、私たちの体に様々な効果を発現しますが、これらの酸性カンナビノイドはエンドカンナビノイドシステムに直接的に影響を与えないためです。

これにより、ほとんどの研究は、CBDAとTHCAではなく、CBDとTHCの効果に焦点が当てられていました。

しかし、CBDAは、エンドカンナビノイドシステムの受容体と直接結合するのではなく、他の受容体に作用し、間接的に影響を与えることがわかり、研究が行われるようになり、複数の期待される効果が報告されています。

抗不安、抗うつ作用

CBDAはCBDと同じようにセロトニン受容体(5-HT1A)に作用することにより、複数の効果を発揮するとされています。

セロトニンは、気分、不安、睡眠、吐き気などの調整に関与する、脳内に見られる神経伝達物質の一種です。うつ病はノルアドレナリンやセロトニンなどの働きが不調に陥ることで脳の機能不全が引き起こされることが原因とされています。

CBDAのうつ病に関する動物を使った実験では、CBDAが抗うつ薬として機能することが示唆されています。CBDAがSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる抗うつ剤と同じようにセロトニン受容体に作用する可能性があります。

嘔吐、悪心を予防・緩和

CBDAはセロトニン受容体(5-HT1A)に作用することから、吐き気や悪心にも効果があるとされています。

CBDAがCBDよりも吐き気を軽減する効果が高いことが研究により報告されています。

このため、抗がん剤や化学療法による副作用である、悪心や嘔吐の緩和や予防に効果が期待されています。

抗けいれん作用

CBDAは吐き気をコントロールするのと同じように、強力な抗けいれん薬としても作用する可能性があります。

研究では、CBDAがCBDと比較してセロトニン受容体に対して100倍の親和性を持っていることが示されています。このため、単純に考えるとCBDよりも100倍の効果がある可能性があります。

この根拠としては、CBDAのバイオアベイラビリティがCBDよりも高いため、体がより少ない労力と時間で化合物を代謝できるためとされています。

バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)とは
摂取したCBDが血中に吸収される割合のこと。簡単には体内でどれだけ利用されるかというものを数値にしたものです。これは血中濃度とそれに要した時間をもとに計算されます。

抗炎症作用

CBDAはCBDと同様に、抗炎症作用が期待されています。

2008年に行われた研究では、CBDA の分子構造が、炎症の治療に一般的に使用される非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)化学構造が著しく類似しており、CBDAがNSAIDと同じようにCOX-1およCOX-2酵素と呼ばれる炎症に関わる化学物質を阻害するとことが報告されました。

この研究によりCBDAが抗炎症剤として有望である可能性が示唆されています。

がん細胞への作用

CBDAはまた、そのがん細胞の影響についても研究されており、研究者はCBDAが特定の乳がんの細胞の遊走(転移、移動)を防ぐ可能性があると報告しています。

これまでのCBDAによるがん細胞に関する初期の研究では、CBDAがMDA-MB-231として知られる非常に攻撃的な乳がん細胞の遊走を阻害する可能性があることが示唆さされています。

まとめ

今回は酸性カンナビノイドCBDAをご紹介しました!CBDAはCBDに前の段階の物質ではありますが、その効果はCBDとは同じところもあれば異なるところもあります。また、バイオアベイラビリティ等が高いことから、CBDよりも効果が高い可能性も示唆されています。

「新鮮な生」の大麻に多く含まれていることから、日本では法律で規制されており直接に利用することは難しいですが、国内でもCBDAを含むCBDオイルなどを見つけることは可能です。

しかし、CBDなどと同じくCBDAに関しても研究段階であり、人への臨床試験による効果の実証はされていないことや作用機序に関しても完全には解明されていないことは理解しておかなければいけません。

この記事が少しでも正しい知識を得るお手伝いになれれば幸いです。

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