CBDに睡眠効果??CBDは私たちの睡眠を助けてくれるのか

CBD

アメリカやヨーロッパを中心にCBD市場は日に日に広がりを見せ、日本でもCBDへの関心は高まっています。CBD市場は、CBDに期待される効果から、医療、健康、美容といった幅広い分野にまたがっており、数ある製品の中には「睡眠効果」を謳った製品も見られます。

ストレス社会に生きる私たちの中には、夜も眠れない、寝つきが悪いといった症状や悩みを持つ人も非常に多いと思います。今回はCBDが睡眠や不眠といったものにどのような効果をもたらしてくれる可能性があるのかについて紹介します!

CBD(カンナビジオール)とは

CBD(カンナビジオール、英:Cannabidiol)とは、植物の大麻で生成されるカンナビノイドと呼ばれる成分の一つです。大麻由来の成分と聞くと「麻薬」を連想されるかもしれませんが、CBDは
「陶酔」や「ハイになる」といった症状を引き起こさない成分です。また、WHO(世界保健機関)でも安全性と一定の効果、効能があることが報告されています。

医療、美容、健康といった幅広い分野での効果が期待されており、アメリカ・ヨーロッパを中心に効果を利用した数多くのCBD製品が販売されています。

アメリカでは大麻由来の成分(CBD)を利用した医薬品として初めて「エピディオレックス(Epidiolex®)」が、国から認可され、難治性のてんかん治療薬として処方されています。

※CBDについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。

日常の睡眠に関する調査アンケート

国内のある睡眠に関する調査では、アンケート形式の回答が行われ、このうち「睡眠に不満を持っている」と回答した人は全体の90%以上に上っています。

睡眠を不満に持つ人の原因となっているもの

  • ストレス(52.8%)
  • 手足の冷え(24.7%)
  • 体調不良(20.0%)
  • 仕事・勉強(17.3%)
  • 枕(15.8%)

男女別でも「ストレス」は最多であり、女性の場合は「手足の冷え」が多く、男性の約2倍に達しています。また、睡眠への不満を年代別に分けると、若い世代ほど「寝ても疲れがとれない」「朝すっきり起きられない」という人が多く、「何度か目が覚める」は年齢が高くなるにつれて増える傾向にあります。また、20代~30代では「なかなか寝付けない」が多くなっています。

平日の平均睡眠時間は、「6時間」が最も多く(36.1%)、その一方で、「6時間以下」も60%にのぼっています。休日の平均睡眠時間は「7時間」(33.4%)が最多で、「6時間以下」は34%となっていますが、理想の睡眠時間としては、51.1%が「8時間」と回答しています。

不眠症かも?実際の症状や原因

まずは不眠症とはどのようなものであり、何が原因となっているかを知ることが重要です。

不眠の症状

不眠症といわれる症状の代表的なものは下記になります。

  • 入眠障害
    寝つきが悪く、30分~2時間以上経っても眠れない。
  • 中途覚醒
    途中で目が覚め、その後なかなか寝付けない。
  • 早朝覚醒
    朝早く目が覚めてしまう。
  • 熟眠感欠如
    ぐっすり眠った気がしない、眠っても疲れが取れた気がしない。

不眠の原因

調査アンケートの結果では、原因にあげられるものとして一番多かったのが「ストレス」ですが、一般的な不眠に関する原因は下記に分類されています。

  • 心理的原因
    何らかの心理的ストレスに関連して起こる不眠。家族、親戚や友人の死、人間関係、仕事における問題などが原因となります。
  • 身体的原因
    身体の病気や症状が原因で起こる不眠。外傷や関節リウマチなど、痛みを伴う疾患やアトピー性皮膚炎や湿疹、蕁麻疹などのかゆみを伴う疾患、 喘息発作や頻尿、花粉症などが原因となります。
  • 精神医学的原因
    不安や抑うつといった精神や神経の病に伴う不眠。
    慢性的な不眠症を抱えている患者の内、3分の1から半数は何かしらの精神的な疾患を持っているとも言われています。
  • 薬理学的原因
    服用している薬や、アルコール、カフェイン、ニコチンなどが原因で起こる不眠。
    アルコールは睡眠の質を下げ、睡眠前のカフェイン摂取は覚醒する場合があります。他には自律神経・中枢神経に働く薬、ステロイドなどが原因となります。
  • 環境的原因
    生活や環境による不眠。深夜の生活騒音や人工的な光、海外旅行や出張による時差ボケ、受験勉強や夜勤シフトなどによる生活リズムの逆転など、ライフスタイルが大きく変わったり、生活環境での光や音といったものが原因となります。

寝れないことによる健康被害と高まるリスク

寝れないことは私たちにとっては非常に悩ましい状況であり、また寝ても疲れが取れないということも日常的に続けば生活への支障や健康に影響が出てきます。

十分な睡眠がとれないということは、倦怠感がとれないだけでなく、意欲低下、集中力低下、抑うつ、頭重、めまい、食欲不振などさまざまな症状が現れ、生活の質が低下します。

最近は、不眠などの睡眠障害が生活習慣病にかかるリスクを高める可能性があり、不眠の症状がある人は、十分な睡眠をとっている人と比較して、糖尿病になるリスクが1.5~2倍に上昇するほか、高血圧、肥満などのリスクも高くなることがわかっています。また、睡眠時間が短いと、免疫力の低下、うつ、がんなどのリスクも高まり、アルツハイマー型認知症のリスクも高まるとされています。

CBDは睡眠に効果があるのか??

果たしてCBDは不眠への効果が期待できるのでしょうか?
下記に海外で行われた睡眠とCBDに関する研究報告とCBDが私たちの不眠や睡眠障害に効く可能性について紹介します。

CBDが睡眠と不安を改善することを示唆する研究報告

2019年1月に海外で発表された論文は「不安と睡眠におけるCBD」と題され、これはCBDが睡眠を改善、または不安を軽減できるかどうかを研究したものです。

この研究には72人の被験者が参加し、このうち不安症や不安障害の症状のある47人、不眠症などの睡眠障害のある25人が参加しました。

被験者は、毎日カプセル状のCBDを25mg与えられました。

研究が始まった最初の月の調査では、参加した被験者の79.2%が不安症・不安障害に関する症状のの減少を報告し、66.7%が睡眠の改善を報告しました。

この研究結果は、CBDが中枢神経系に作用し、鎮静効果を発揮、睡眠の質の向上に効果がある可能性を示唆するものとしています。しかし、加えて、この研究も小規模であり、CBDと睡眠に関する作用等を理解するにはさらなる大規模な研究が必要であるとも報告されています。

CBDがあなたの不眠の原因を解消してくれるかも?

研究では直接的にCBDの鎮静作用により睡眠へ誘うような効果が示唆されていますが、その他のCBDに期待される効果があなたの不眠を解消してくれる可能性があります。

CBDが不眠の原因を取り除く可能性

不眠の原因は上記の項目で説明したように、ストレスなどの精神的なものから、関節痛やアトピー性皮膚炎などのかゆみを伴う疾患などの身体的なものまで人それぞれです。

下記のリストの効果や関連する疾患にあなたの不眠の原因があれば、CBDがあなたの不眠の原因を取り除いてくれるかもしれません。

CBDの効果、効能として期待されている一部と関連する疾患

  • 抗不安
    全般性不安障害(GAD)、社会不安障害(SAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など
  • 抗炎症作用
    多発性硬化症、関節リウマチ、大腸炎、肝炎など 
  • 発作とけいれん
    ドラべ症候群、レノックスガストー症候群などの難治性てんかんなど
  • 免疫抑制
    関節リウマチ、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎など
  • 神経保護作用
    アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など
  • 疼痛緩和
    関節炎、多発性硬化症、片頭痛など
  • 悪心、嘔吐の減少
    がんの化学治療やエイズ治療の副作用の緩和
  • 皮膚病
    乾癬、アトピー性皮膚炎、ニキビなど

CBDが睡眠に関する恒常性機能(ホメオスタシス)を改善する可能性

本来、私たちの眠りは、「体内時計機構」と「恒常性維持機構(ホメオスタシス)」の 2 つのシステムによりコントロールされています。

  • 体内時計機構
    夜になると眠るという仕組みです。暗くなるとメラトニンという睡眠ホルモンが脳から分泌され、体内時計に働きかけて自然に眠くなります。ぐっすり寝た翌日の夜も眠くなることなど、人が毎日規則正しい睡眠リズムを繰り返すための機能です。

  • 睡眠における恒常性維持機構(ホメオスタシス)
    徐々に疲れが溜まると、眠くなるという睡眠欲求が起こる仕組みです。睡眠欲求は目覚めている時間が長いほど強くなり、いったん眠りに入ると急速に減少します。身体の状態を一定に保つため、眠りの質と量は溜まった疲労に合わせて調節されます。徹夜をした翌日はぐっすりと長時間眠れるという機能と言えます。

本来であればこれらの機能が正常に働き、私たちは眠りに落ち、休息し、次の日再び活動が行えるというわけですが、ストレスや不安、外部環境など何らかの原因でこれらの機能が正常に働かなくなると不眠の症状として身体に影響が現れます。

CBDやその他のカンナビノイドがこの2つのうちの恒常性維持機構(ホメオスタシス)において重要な役割を果たすことが研究によりわかっています。

CBDとともに、この恒常性維持(ホメオスタシス)の機能に関わってくるとされているシステムは、もともと私たちの身体に備わっており、生命活動のさまざまな調整機能を担うエンドカンナビノイドシステム(ECS)と呼ばれるものです。このECSとCBDが身体に働くことにより、私たちの睡眠を改善してくれる可能性があります。

※エンドカンナビノイドシステム(ECS)とホメオスタシスについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。

アントラージュ効果による睡眠作用の可能性

CBDの睡眠に関する作用についてもいくつもの研究により、その可能性が示唆されています。しかし、その作用がアントラージュ効果による影響が大きいのではという説もあります。

アントラージュ効果とは、CBD単体の成分でも効果は期待できますが、そのほかの大麻に含まれる成分と一緒に摂取することにより、さらに効果が高まるといったものです。

つまり、CBDと下記に紹介するテルペン等、大麻に含まれる成分を同時に摂取したほうが、より睡眠に関する作用が得られる可能性が高いということです。

アントラージュ効果(Entourage effects)とは

アントラージュ効果とは大麻に含まれる、CBDやTHCといったカンナビノイドやテルペン、フラボノイドといった成分を同時に摂取することにより、これらが相互作用しエンドカンナビノイドシステムに影響を与え、負の副作用を抑えたり、より高いレベルでそれぞれの持つ効果を発揮するといったものです。

例としてはTHCの短期記憶障害の副作用をテルペンの一つであるピネンが防止したり、柑橘系の香りを持つテルペンであるリモネンとCBDが不安を和らげるために一緒に働く可能性があります。

このようにTHCやCBDといったカンナビノイド成分を単体で分離したものでも効果は期待できますが、植物の大麻に含まれるその他の成分を分離・除去することなく一緒に摂取することで、THCやCBDといったカンナビノイドやテルペンの持つ作用を合わせて利用することが重要という考えです。

※アントラージュ効果について詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。

テルペンとは

テルペンとは、科学的にはイソプレン(isoprene)という二重結合を2つ持つ炭化水素にを構成炭素とする炭化水素であり、分類によってはテルペン類のうち、カルボニル基やヒドロキシ基などの官能基を持つ誘導体はテルペノイド (terpenoid) と呼ばれます。

テルペンとテルペノイドは、植物や一部の昆虫によって生成され、多くの種類の植物や花のエッセンシャルオイルの主要成分です。

エッセンシャルオイルなどに含まれるテルペンには、抗菌作用、鎮静作用など様々な効果があるとされ、香水やアロマセラピーなどの伝統的な薬の香料として広く使用されています。また、天然ゴムや溶剤の原料としても利用されます。

※テルペンについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。

まとめ

今回はCBDに期待される不眠に関する効果についてご紹介しました。ストレス社会で生きる私たちには不眠や睡眠負債といった問題は非常に身近なものです。CBD自体の睡眠への効果についてはまだまだ研究が行われているという段階ではありますが、小規模の臨床試験や数多くの実際の消費者による事例報告では不眠症の治療や緩和への効果は期待されています。

睡眠薬のようなCBDが睡眠へ誘うといった効果についてはもっと多くの研究が必要ですが、そのほかにも、不眠の原因はストレスや不安などさまざまあり、それらをCBDが改善してくれる可能性ついてはいくつもの研究において示唆されているのも確かです。

最後に、CBDには不眠症などを改善してくれるような効果が期待されていますが、これらはまだ研究段階であるということ、CBDは万人に効く万能薬・特効薬というものではなく、現在の不眠症への治療を辞めてCBDを使うといったことはお勧めしないということを必ず理解しておく必要があります。

この記事で、皆さんが正しい知識を得るためのお手伝いができれば幸いです。

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