人工的に合成されたCBDやTHC!?合成カンナビノイドの効果やリスク

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近年、アメリカの複数の州の大麻合法化による、大麻産業の急速な拡大は「グリーンラッシュ」と呼ばれ、その影響は日本にも波及しています。

日本のように大麻が合法でない国では、大麻において生成されるカンナビノイドと言われる成分に関心が高まっており、中でもCBDと言われる成分は、医療や美容、健康への幅広い効果が期待されることから、数多くの製品が市場に出ており、世界規模での流行になりつつあります。

これらのCBDは基本的には大麻より抽出された天然由来ではありますが、カンナビノイドの中には現在研究され、注目されつつある人工的に合成されたカンナビノイドもあります。

今回は利便性や生産性などの観点から注目され、研究されている「合成カンナビノイド」についてご紹介していきます!

カンナビノイドとは

カンナビノイドとは、主に植物の大麻で生成されるCBDやTHC、CBN、CBGなどの成分を総称してカンナビノイドとされますが、詳しくは大きく分けて下記の3つに分類されています。

  • 植物性カンナビノイド(Phytocannabinoid)
    大麻に含まれるTHCやCBDをカンナビノイドの総称。
  • 内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド、Endocannabinoid)
    体内で生成されるカンナビノイドであり、主にアナンダミド、2-AGなどが重要な役割を担っている。
  • 合成カンナビノイド(Synthetic cannabinoid)
    人工的に作られたカンナビノイド、THCやCBDの分子構造をもとに作成され、その作用も同じように影響する。しかし、中には危険ドラッグと呼ばれるものも同じように製造されている。

※カンナビノイドについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。

合成カンナビノイドとは

合成カンナビノイドはSynthetic Cannnabinoidsと呼ばれ、人工的に合成されたカンナビノイドを指します。

合成カンナビノイドはTHCやCBDといったカンナビノイドに分子構造をもとに作成され、その作用も同じように人に影響します。

また、合成カンナビノイドも、THCやCBDなどの植物性カンナビノイドと同じように、CB1やCB2と言われるカンナビノイド受容体に相互作用し、様々な効果を発現します。

主な用途としては、植物の大麻を育てずに、その成分を安価で作り出すことができるため、医療の分野などで重要視されています。

また、現在はTHCやそれらを含むマリファナが複数の国やアメリカの複数の州において合法となったことから、医療への応用の為に研究することも可能になりましたが、以前は医療の為に研究することも難しく、医療研究の為に合成カンナビノイドが必要であったという背景もあります。

しかし、中には脱法、合法、危険ドラッグと呼ばれるものも製造され、世界的にも問題になっています。

合成カンナビノイドを使用した医薬品

合成カンナビノイドは現在複数の医薬製剤に使われ、がんやエイズの治療にも利用されています。

  • ドロナビノール(マリノール)(THCの異性体)
    がん治療やがん治療薬の副作用に対する、悪心や嘔吐の治療又は予防、およびエイズ患者の食欲増進に使用される薬。
  • ナビロン(セサメット)(合成THC)
    エイズ患者の食欲不振と体重減少に使用される医薬品。

合成カンナビノイドの安全性やリスク

一部の合成カンナビノイドは、臨床試験により、その効果が実証されていることから医薬製剤に使われてます。しかし、その反面、現在では危険ドラッグと呼ばれる「違法合成された麻薬」にも合成カンナビノイドが使用され、安全性やリスクを認識しておくことが重要です。

天然由来のCBDと合成CBDとどちらが良いのか?

天然の大麻やヘンプから抽出されたCBDと合成されたのCBDどちらが良いのかという議論があります。

医療大麻に関するイメージと似ているのですが、一般的に「天然、自然」由来のものは有害性がなく、安全で効果が高いといったイメージがあります。

対照的に「合成、人工」由来のものは、副作用、リスクがあり、効果が薄いといったイメージがあります。

CBDについてはどうでしょうか?

合成CBDに関する、動物を使った研究では、天然のCBDと同じように抗炎症作用や抗てんかん作用が確認されましたが、天然由来のCBDと比べてそこまでの優位性は見られなかったようです。

しかし、興味深いことに天然のCBDは通常、カンナビノイド受容体であるCB1やCB2との親和性が低く、直接結合することはありませんが、合成されたCBDはCB1やその他の受容体にも作用したことも報告されています。

ただ現在、合成CBDに関する研究はまだまだ途中であるため、天然のCBDが良いのか、合成CBDが良いのかというところは、安全性やリスクに関しても「わからない」というのが現状です。

脱法、合法、危険ドラッグに使われた合成カンナビノイド

現在(2020年)までにマリファの過剰摂取において死亡した人はいないとされています。しかし、同じような分子構造を持つ合成カンナビノイドによる死者は大勢いるといっても過言ではありません。

大麻に含まれる精神活性作用のある「THC(テロラヒドロカンナビノール)」の化学構造に似せて作られた危険ドラッグが複数あり、これらはTHCと同じような精神活性作用を持っていますが、化学構造がTHCとは類似しているが違うため、大麻に関する法的制限を回避すると考えられ、取り締まられないとされ合法ドラッグ、脱法ドラッグとして販売されてました。

これらの危険ドラッグはK2、スパイス、アリゾナ、ブラックマンバ、ボンベイブルー、クリプトンなど様々名称・ブランドで販売されており、中にはAKB-48や2NE1といった日本や韓国に由来のあるグループの名称のものもあります。

このように、薬物規制の対象となる薬物とは異なるが、類似した構造や作用を持つ、新たな薬物が繰り返し作り出されることにより、警察(規制)と犯罪者(合成)のいたちごっことなっていました。

このような合成カンナビノイドを使用した、危険ドラッグは348種類以上が同定されており、麻薬に関する単一条約と向精神薬に関する条約によって現行で規制されている薬物合計の234種類を上回っています。

これらの合成された危険ドラッグは本来のものよりも効果が弱いにも関わらず副作用が非常に強く、数倍の危険性があるものもあり、様々な事件や事故を誘発し、これまで多くの死者を出しています。

一方でこれらの合成された危険ドラッグへの高い需要や流行の背景には、違法薬物に対する厳罰主義がもたらしたものだという意見もあります。

まとめ

今回は合成カンナビノイドについてご紹介しました!合成カンナビノイドは、天然由来のものと比べて、有害で劣っているというイメージが良くされますが、世の中には合成された薬品や化学物質などは日常生活の中で非常に多く使われており、利便性や安全性を考えた時にも合成物質の方が安全な場合もあります。

しかし、危険ドラッグのように、合成されたカンナビノイドを使用して作られたものには、非常に危険であり、一歩間違えれば命に危険が及ぶものだというのは理解しておかなければいけません。

合成CBDなどの医療転用は今後研究が進めば非常に有用な合成カンナビノイドとなる可能性があり、安価で、生産性に優れ、安全性が高く、様々な疾患に効果があるものには大いに期待したいと思います。

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