大麻由来の成分であるCBD。CBDはその期待される数多くの効果から、アメリカ国内では約14%もの人がCBD製品を使用しているといわれ、日本でもCBDへの関心が日に日に高まっています。
実は、このCBDは大麻で生成されるごく一部の成分であるというのはご存じですか?大麻にはCBD以外にも100種類以上ものカンナビノイド含まれているとされています。
今回はCBDとは違い、まだまだ日本では知られていない希少なカンナビノイドの一つ、「CBG(カンナビゲロール)」についてご紹介します!
カンナビノイドとは
カンナビノイドとは植物の大麻(アサ)において生成される、CBDやTHCといった化学物質の総称です。大麻に含まれるカンナビノイドはCBDやTHC以外にも100種類以上あるとされています。
カンナビノイドは植物の大麻によって生産される成分の一部にすぎず、その他にもテルペンやフラボノイドといった化学物質も合成されています。大麻に含まれる全ての化学物質を合わせると400種類以上にも上ります。
カンナビノイドはCBDやTHCと識別されるように、それぞれが個々に違った作用を及ぼし、またそれぞれが相互作用し、相乗効果を生み、私たちに多くの健康や医療に関わる利益を得ることが出来るとされています。
今回ご紹介するCBG(カンナビゲロール)もカンナビノイド一つであり、人への様々な効果が期待されています。
※カンナビノイドについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください
CBG(カンナビゲロール)とは?
CBGは英語でCannabigerol略称であり、大麻において生成されるカンナビノイドの一つです。CBGにCBDと同じように精神活性作用がなく、「ハイ」といった症状にならないのが特徴です。
また、CBGはCBDやTHCといった他の多くのカンナビノイドの元となる前駆体といわれる物質であり、そのことからカンナビノイドの「母」と言われています。
このように、CBGは多くのカンナビノイドの前駆体であることから、大麻内で主にCBDやTHC、そのほかのカンナビノイドに変換されるため、成熟した大麻には微量しか残留しておらず、約1%程度しか抽出できないことから希少なカンナビノイドとされています。
CBGは、CBDやTHCと同じく海外において、効果や効能については研究は行われている段階であり、人への臨床試験は行われてらず実証されている効果は現在のところありません。
しかし、初期の研究調査や動物を使った研究においては、複数の有望な結果が示されていることにより、注目されています。
CBG(カンナビゲロール)はどのように生産されるのか?
先にご紹介したように、CBGはカンナビノイドの母と呼ばれ、CBGのほとんどがTHCやCBDといったかカンナビノイドに変換されます。
植物の大麻では主要なカンナビノイドの前駆体であるCBGA(カンナビゲリン酸)を生産します。その後、大麻植物の中にある特定の酵素がCBGAを分解し、CBGAはTHCA(テトラヒドロノール酸)やCBDA(カンナビジオール酸)、CBCA(カンナビクロメン酸)などに変換されます。
これらのTHCAやCBDAが紫外線や熱にさらされることにより、脱炭酸という化学反応が起こり、最終的にTHCやCBDが生産されます。
このようにCBGAのほとんどはTHCやCBDに変換されますが、ここで残ったCBGAが脱炭酸によりCBGとなります。そのため、一般的な大麻ではCBGが約1%程度しか含有されていません。
CBGは大麻植物が成熟、開花するとTHCやCBDに変換し、減少するため、大麻が開花する初期段階においてCBGの含有数値が最大になります。
生産コストが高いCBG
CBGは生産コストが高く、CBGの製品はCBD製品に比べて5倍程の価格差があります。
これは、先に説明したように1株の大麻に対してCBGを抽出量が約1%程度であるため、CBDやTHCよりも希少とされています。このため、多くのCBGを抽出しようとすると、多くの大麻植物が必要となりコストが非常に高くなります。
CBGをより多く抽出しコストを下げるために、大麻栽培を行っている農家や研究者たちは、さまざまな品種同士を交配させるなど研究が行われ、CBGを増産するような品種を作られています。
また、CBGは開花の初期段階に最大値となるため、例として8週間で成熟する大麻を6週間で収穫し、そこからCBGを抽出するといった方法も行われています。
CBGに期待される効果とは?
CBGにもTHCやCBDと同様に多くの医療を中心とした効果が期待されています。これらのすべては、臨床試験でまだ十分に証明されていませんが、CBGがいくつかの疾患に有望な治療法であるかもしれないことを示す複数の初期の研究があります。
CBGに期待される効果の一部
- 緑内障
緑内障の原因は眼圧が高くなることにありますが、1990年に行われた研究では、CBNやその他のカンナビノイドは眼圧を低下することがわかり、緑内障を治療する可能性が示唆されています。しかし、これらの研究は初期段階にあり、CBGは他の緑内障を治療する薬よりも優れているという事ではなく、CBGが緑内障の従来の治療に置き換えることができるかどうかを知るためには、さらなる研究が必要とされています。 - 抗菌作用
2008年に行われた研究では、CBGは院内感染の原因菌でもっとも発症の多い多剤耐性菌、MRSA(エムアールエスエー)など細菌を治療する方法となる可能性が示唆されています。MRSAとは別名をメチシリン耐性黄色ブドウ球菌といわれ、メチシリン(抗生物質の一般的なタイプ)に耐性のあるブドウ球菌感染症の一種です。MRSAは免疫力の低い人への感染により、化膿性疾患、髄膜炎、肺炎、腸管感染、毒素性ショック症候群などを起こします。抗生物質への耐性があることから治療が思うように進まないことで致命的な重篤な症状に至る可能性があります。 - GABAの再取り込みを阻害する作用
CBGはGABAの再取り込みを阻害し、筋肉弛緩、緊張緩和、体と脳を落ち着かせ穏やかな状態にする可能性が研究により示唆されています。薬理学的には、GABA取り込みを阻害する薬は、不安症などの治療に使用されてることから、CBGは不安を潜在的に減少させる可能性があるとされています。 - 抗炎症作用
炎症性腸疾患および大腸炎、皮膚に関する炎症疾患への効果が期待されています。 2013年に行われたCBGに関するラットを使用した研究では、CBGが大腸炎の影響を低減することが示唆されています。また、2007年に行われた研究では、炎症が原因となっている乾癬や湿疹などの皮膚に関連する炎症疾患への治療効果が示唆されています。 - 神経保護作用
ハンチントン病などの神経変性疾患への効果が期待されています。2015年にマウスを使って行われたCBGに関する研究では、CBGやその他のカンナビノイドがそれらの持つ神経保護作用によりハンチントン病のような神経変性疾患の治療に役立つかもしれないとされています。 - がんへの作用
CBGは、特定のがん細胞の成長を抑制する可能性が様々な研究により示唆されています。2006年の研究では乳癌の成長を抑制、2009年の研究論文では、CBGが腫瘍の成長を潜在的に遅らせることを示し、2016年の別の研究では、CBGを含むカンナビノイドが腫瘍進行の直接的な阻害剤として作用し、一次治療の活性を高めるということが示唆されています。また、2016年のラットを使った研究では、食欲を増進することが示唆され、がんに対する化学療法を受けている患者への利用が期待されています。
CBGへは上記のように、初期段階の研究においては様々な効果が期待されていますが、まだまだ研究が進行中なものが多く、人への臨床試験などは十分な研究は行われておらず、科学的にはまだ実証されていません。
まとめ
今回はカンナビノイドの一つCBG(カンナビゲノール)についてご紹介しました!CBDやTHCとは違いまだまだ、日本では認知が低く、CBGを配合した製品はほとんど見ることはありません。その特性から大麻に含有されているCBGの量は少なく、CBDと比べてると価格は数倍高く市場に出ています。
CBDやTHCと同じように、医療などへの効果については研究段階であり、今後研究が進み、ご紹介したような効果が実証されれば、日本でも多くのCBG製品や医薬品を見る日が来るかもしれません。
この記事が少しでも正しい知識を得る手助けになれれば幸いです。
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