アメリカの大麻産業の急速な発展は「グリーンラッシュ」と呼ばれ、その影響もあり、大麻由来の成分であるCBDにも注目が集まり、大麻市場と同じく、アメリカやヨーロッパではCBD市場が拡大しています。このこういった影響もあり、日本でもCBDに対する関心は高まりつつあります。
そこで今回は大麻由来のCBDは違法ではないのか？という疑問から、日本のCBDにおける規制についてご紹介いたします。
CBDとは
CBD（カンナビジオール、英：Cannabidiol）とは、植物の大麻で生成されるカンナビノイドと呼ばれる成分の一つです。大麻由来の成分と聞くと「麻薬」を連想されるかもしれませんが、CBDは
「陶酔」や「ハイになる」といった症状を引き起こさない成分です。また、WHO（世界保健機関）でも安全性と一定の効果、効能があることが報告されています。
医療、美容、健康といった幅広い分野での効果が期待されており、アメリカ・ヨーロッパを中心に効果を利用した数多くのCBD製品が販売されています。
アメリカでは大麻由来の成分（CBD）を利用した医薬品として初めて「エピディオレックス（Epidiolex®）」が、国から認可され、難治性のてんかん治療薬として処方されています。
※CBDについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。
CBDは合法か、違法か
結論から言うとCBDは合法です。日本でCBD Vapeやオイルを購入、使用することは合法でが、しかし、一部のCBD製品に関しては違法となる可能性がるので注意が必要です。
通常であればCBD専門店や海外ブランドの正規代理店で製品を購入する場合は、「販売する側」が法律に沿ったCBD製品を販売しているはずなので、気にする必要は殆どありませんが知識として理解しておくことは重要です。
CBDに関する日本の法規制「大麻取締法」
CBDは植物の大麻より抽出される成分には違いないので、関連のある可能性のある日本の法律は「大麻取締法」または「麻薬取締法」になります。
大麻取締法の概要としては日本では「大麻取扱者」でなければ大麻の所持、栽培、譲渡などは違法となるというものです。この法律の中で、大麻は下記に定められています。
第一条
この法律で「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く。
大麻取締法（昭和23年07月10日法律第124号）-厚生労働省HPより引用
これを根拠に大麻（草）の「成熟した茎及び種子」から抽出されたCBDは法規制の対象にはならないため購入、使用などが「合法」となっています。
大麻やCBDに関しては「大麻取締法」の管轄になるため「麻薬取締法」には直接かかわってきませんが、大麻で生成されるカンナビノイドの一つである「THC（テトラヒドロノール）」は麻薬取締法により麻薬に指定されているため、輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受、施用を禁止されています。
CBDでも違法になる場合がある
大麻取締法の第一条の条文が根拠となりCBDは日本では規制の対象外というように書きましたが、一部のCBD製品は規制の対象となることに注意が必要です。
CBDが合法となる根拠は、条文にある「大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」となっており、具体的には大麻の「成熟した茎及び種子」から抽出されたCBDです。同じような例としては「七味唐辛子」や「ヘンププロテイン」、健康食品として食用や鳥の飼料としても使われる「麻の実」も大麻の種子や種子由来であるため、大麻取締法の規制の対象外となります。
しかし、言い換えれば種や茎以外から抽出したCBDは違法となります。
違法となりうるCBD製品
違法となりうるCBD製品は主に下記です。
- THCが含まれているCBD製品
- フルスペクトラムCBD
- 大麻の「成熟した茎と種子」以外から抽出したCBD製品
上記にあげた３つは規制の対象になりうる製品です。
THCが含まれているCBD製品
THCは先ほども少し触れましたが、海外では薬効成分を医療用大麻として医療の分野で使用しますが、日本では精神活性作用があることから麻薬物質として「麻薬取締法」により禁止されています。
THCが微量でも含有されていれば、いくらCBDが合法でもそのCBD製品は違法となります
※THCについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。
フルスペクトラムCBDは違法
フルスペクトラムCBDとは、大麻、主にヘンプからCBDを抽出する際の抽出度合いのような分類であり、大麻草のCBDを含むすべての成分を抽出したものになります。
大麻草の「植物エキス」と言えるものです。主なCBD抽出の原料となるヘンプには微量ながら0.2～0.3％程度のTHCが含有されており、その成分も一緒に抽出するため、微量ながら違法であるTHCが含有されています。
また、フルスペクトラムCBDの場合、茎や種子といった部位に関係なく抽出されることが多いため、その点も違法となる可能性があります。
※フルスペクトラムCBDについて詳しくはこちらを合わせてお読みください。
大麻の成熟した茎と種子以外から抽出したCBD
文字通り規制の対象となる、大麻やヘンプの茎と種子以外から抽出されたCBDは違法となります。
実際には、CBDが製品になってしまえば、どこの部位から抽出されたものか、というのは検査のしようがないというのが事実です。こういった中で、各海外ブランドなどが日本の法律に沿った製品を製造し、正規代理店などにより法令を遵守して輸入が行われています。
CBD製品と日本の輸入規制について
現在日本で販売されているものを大きく分けると、国内ブランドと海外ブランドに分けることができます。しかし、現状販売されているそのほとんどが海外ブランドの製品であり、海外で作られたものになります。
また、国内ブランドのCBD製品おいても、国内では大麻取締法により大麻の栽培が一般的には難しいので、国内産のCBD原料を確保することは不可能に近く、CBD原料は海外産のものを頼るしかありません。
これにより、国内ブランド、海外ブランド共にCBDを国内に流通させる場合は、必ずCBD製品または原料の輸入が必要になります。
海外と日本のCBDについての規制の違い
輸入において問題になってくるのが海外と日本の大麻とCBDにおける規制の違いです。
日本では大麻取締法により、大麻の「成熟した茎及び種子」から抽出されたCBDでなければ規制の対象になります。しかし、CBDに関する海外の規制は日本とは違います。
CBDは主に植物の大麻の一種である「ヘンプ（産業用大麻）」から抽出されますが、ヘンプはTHCの含有量が0.2、0.3%以下のものであれば、その抽出に使用する部位に関して規制されていないことが一般的なため、「成熟した茎及び種子」以外から抽出されたCBDが数多く存在します。
正規に税関を通して輸入されたCBD
日本へCBD原料又はCBD製品を輸入する場合は、日本の法律の規制の対象外である必要があります。また輸入の際には必ず日本の税関にて申請を行わなといけません。
税関の申請時には日本の規制対象外であるCBDという証明をする書類が必要であり、また麻薬として指定されているTHCが含有していないことも合わせて証明しなければなりません。
このように日本の規制に準拠し、税関にて申請し通ったものでないと日本には輸入できず、この経路が現在のCBDが日本に入ってくる正規の輸入方法になります。
※更新情報
2020年3月に厚生労働省より、CBD並びにCBDオイルについての輸入に関する情報が明文化されました。ある意味ガイドラインと呼べるようなものでもあり、これにより一部のCBD製品の輸入ができなくなったことに加えて、海外からの個別の発送、個人輸入などが難しくなった印象です。
詳しくはこちらの記事をお合わせてお読みください。
CBDで違法にならないために
食品や化粧品でも店頭に並んでいるもの、ECサイトで購入するものにしても、それが違法かどうかとを毎回、気にしている人はいないと思います。
基本的には各企業や販売業者が法令を遵守しており、公に販売されているものであれば違法性はないはずです。
しかし、CBDに関してはまだまだ市場が発展途上であること、近年海外からもさまざまな製品を個人単位で購入できることを考慮すると、海外と日本の規制についてなど購入における注意点を理解しておく必要がります。
CBD製品の購入時の注意点
違法ではないCBD製品や、どの製品が身体にも安全で信頼できる製品かというのは頭を悩ませる問題だと思います。
良い製品に出会うためには単純ですが、「信頼できる人・場所から信頼できる製品を購入する」ということが重要です。
CBD製品を購入・使用を検討されている方へのアドバイスとしては下記の二点です。
- 大手ブランドの正規代理店からの購入（店頭・オンライン）
- 大手ブランドの製品を選ぶ
アメリカでは、あるショッピングサイトで購入可能なCBDに関連した商品のうち70％もの商品が、製品表示や広告に虚偽や誇張があったという調査報告もあり、体内に入れたり、肌に直接塗るものなので、製品選びには十分気を付けなければいけません。
海外の大手ブランドであれば、製品についても一定の品質や安全性の保証は確保できます。また、正規代理店を通しての購入であれば、正規のルートを通り販売されている製品なので、海外メーカーや日本の企業が輸入の際に必要な書類を意図的に改ざんしたり、虚偽の報告をしていない限り、それらのCBD製品に違法性はないはずです。
まとめ
今回は日本とCBDの規制についてご紹介させていただきました。CBD自体は合法ですが、CBDや製品によっても日本の法律の取り締まりの対象となることには注意が必要です。
またCBDの購入や使用を検討している方は、CBDの持つリスクや期待されている効果について理解することが重要です。
この記事が少しでも正しい知識を得るお手伝いになれば幸いです
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