CBDが薬物による依存症を治療する??CBDの依存症治療の可能性

CBD

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CBDはその期待される効果から、美容、健康など多くの用途で使用されています。また、その他の分野に関しても研究が行われています。今回はそれらの一つで、へロインといった薬物の依存に苦しむ人々への治療を目的としたアメリカの研究に注目し、CBDが薬物依存を治療する可能性についてご紹介します。

アメリカでは薬物摂取による死亡が社会問題

アメリカではヘロインや薬物の常用的な摂取による年間の死亡者数が交通事故、銃犯罪、HIVといった死者数を上回っています。

特にオピオイド系鎮痛剤の問題はアメリカ国内で最も大きい問題の一つであり、2017年の調査では1日に130人がオピオイドの依存症により、命を落としていると報告されています。

アメリカのいくつかの州では現在大麻が医療用、嗜好用ともに合法化されていますが、合法化の際の議論に大麻と薬物中依存者の増加、死亡というものは度々あがります。

しかし、一方でアメリカの新しい研究調査により、大麻の成分である、CBDといったカンナビノイドを利用することが、薬物依存を治療する新しいオプションになるのではと注目されています。

オピオイドとは??

オピオイドとは芥子(けし)の実からから採取される天然由来の有機化合物と、そこから生成される化合物の総称です。

オピオイドは「麻薬性鎮痛薬」を指す言葉としても用いられ、化合の方法により、モルヒネなどの天然オピオイドのほか、オキシコドンやヘロインなどの半合成オピオイド、フェンタニルなどの合成オピオイドに分類されます。

通常は、手術中・手術後の痛み、外傷による痛み、分娩時の痛み、急性痛、がんによる痛み、神経が損傷された後などに長期間続く慢性痛に対して鎮痛薬として用いられており、オピオイドは一般的にも処方されているもので、それ自体の服用に違法性はありません。

しかし、疼痛の治療に有効である一方、一般的に麻薬と言われる禁止薬物のような陶酔感、恍惚状態をもたらす効果もあり、依存性が強まる性質があります。

このような性質に加えて、アメリカでは以前からオピオイド系鎮痛剤の過剰処方により、依存症患者が増加し、これによる死亡者数の増加が大きな社会問題となっています。

ヘロインとは??

ヘロインとは、アスピリンなどを世界に送り出した、世界的な製薬企業であるドイツのバイエル社の商品名、商品であり、芥子の実を原料としたモルヒネから作られるオピオイド系麻薬の一つです。

ヘロインの摂取方法

摂取方法は、注射器による静脈注射、炙りによる煙の吸引、パウダー状のものを鼻から吸引するのが一般的であり、摂取から効果の発現はかなり早く、数時間持続します。

ヘロインは俗称でペー・チャイナホワイト・スマック・ダスト・ホース・メキシカンブラウン・ジャックなどと呼ばれています。

ヘロインの作用と依存、禁断症状

ヘロインは「ラッシュ」といわれる作用を引き起こし、オピオイド系麻薬の中では非常に強い「多幸感」「陶酔感」を感じるとされています。

ヘロインは、薬物耐性の構築による身体的依存を生み出しやすく、同じレベルの多幸感、陶酔効果を得るためには使用毎に、より多くの薬剤が必要となります。

また、ヘロインの使用を停止した場合、体中の関節に激痛がはしる、悪寒、嘔吐、失神など、酷い禁断症状が起こります。この苦しく酷い禁断症状から逃げるために再度ヘロインを摂取する、という悪循環も依存を強める要因です。

激しい禁断症状が続くと、正常な精神活動を保つことが出来ず、人格が崩壊してしまうこともあり、このようなショック状態に陥ると、こん睡状態から呼吸停止、最悪の場合、死に至ることもあります。

過剰摂取での死亡もかなり多く、日本国内では麻薬及び向精神薬取締法によって、その製造・所持・使用は制限されており、専門家による薬物の評価では、ヘロインは快感3点、精神的依存3点、身体依存3点といずれも最高の3点となっている唯一の薬物です。

ラッシュとは
ラッシュとは英語で「An acute transcendent state of euphoria」とあらわされるような急性で、異常に強い多幸感を感じる作用のことです。ヘロインなどの向精神薬を摂取することで、それらが中枢神経系のドーパミン受容体に作用することで引き起こされます。

CBDを使用したヘロイン依存患者を対象とした研究

アメリカのNYにある病院で、42名のヘロイン依存の患者に対し、CBDを利用した研究調査が行われました。

概要としてはカンナビノイドの一つであるCBDをヘロイン依存の患者に使用し、これによりヘロインへの依存が改善されるのかというものです。

※CBDについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください。

CBDとプラセボによる効果の比較調査と概要

この研究調査では無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験を使用して行われました。

被験者は「CBDを投与されるグループ」とプラセボと言われる有効成分配合していない、治療効果の全くない薬が与えられる「プラセボを投与されるグループ」に分けられました。

CBDの投与量は400㎎~800㎎と設定され、3日間続けて経口液として被験者により摂取されました

被験者は、CBDまたはプラセボの①投与直後 ②投与の24時間後 ③最後の3日目の投与から7日後というこの3つの決められたセッションの間に、「ニュートラルキュー」と「薬物関連キュー」と名付けられた動画をそれぞれ3分間見せられました。

「ニュートラルキュー」は自然などの一般的にリラックスといわれるような場面を含んだ動画、「薬物関連キュー」は、薬物使用を連想させる静脈注射、ゴムひも、注射器やヘロインを連想させるような白い粉の入った小分け袋などの場面を含んだものが使用されました。

二重盲検法とは?
特に医学の試験・研究で、実施している薬や治療法などの性質を、医師(観察者)からも患者からも不明にして行う方法です。プラセボ効果や観察者バイアスの影響を防ぐ意味があり、この盲検化を含んだランダム化比較試験(RCT)は、客観的な評価のためによく用いられます。

CBDまたはプラセボの効果測定方法

効果の測定方法としては、前述した二つの動画を見た被験者下記についての健康指標などが測定されました。

  • 薬物への渇望
  • 不安
  • 心拍数
  • 血圧
  • 呼吸数
  • 血中酸素濃度

CBDを使用した研究調査の結果は驚くべきもの

研究チームはプラセボを投与した患者とは対照的に、CBDを投与した患者が「薬物関連キュー」によって誘発される渇望や不安を大いに減少させるという結果が出ました。

③のセッションの最終投与の1週間後の測定でも顕著な数値を示し、長期的なCBDの効果も証明しました。また、認知に対する影響もなく、有害な副作用なども報告されませんでした。

依存症の患者にとっては「薬物関連キュー」に含まれる動画のような環境要因によるドラッグの使用を誘発されるものは、特に強いものです。一般的にはこれらがドラッグの再使用と依存のきっかけになる一番の原因となっています。CBDがこれらの渇望や不安といったものを軽減するということが示され、これは非常に特筆すべき点だと報告されています。

研究の今後の課題

研究チームは、この研究を活かして、CBDによる依存症の治療方法を確立する課題として、もっと大規模での調査・研究を行い、CBDが実際に脳にどのように影響しているのかというメカニズムを深く調査することと、オピオイド依存への対処に活用するために実際の医療を想定した調査が必要だとしています。

新しい薬物依存治療オプションとしてのCBD

この研究の結果としては、CBDがヘロイン中毒者の薬物への渇望、不安といったものを軽減することが示されました。

通常ヘロインやオピオイド患者を治療するために使用される薬はメタドンとブプレノルフィンと呼ばれるもので、オピオイドと同じ受容体に働くものでです。これは言わば薬物と同じような作用をする薬を使用したオピオイドの置換療法であり、一定の依存リスクを抱えています。

CBDは他の薬に比べて有害性がないということが言われており、このような自然由来のカンナビノイドの効果が評価され、公に示されれば、今後CBDを使用した新しい治療オプションを作ることが可能となり、日本を含め世界中で苦しむ何百万人という患者や家族の治療を手助けできるかもしれません。

まとめ

今回はCBDとヘロインの依存症治療についてご紹介しました。美容、健康から依存症の治療までさまざまな効果が期待されているCBD。実際にはCBDにも副作用も報告されていますが、比較的安全ということはWHOによっても報告されています。今後依存症に対する研究がさらに進み効果が実証されれば、新しい依存症治療のオプションとして多くの人々の治療の手助けになる日が来るかもしれません。

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