医療用大麻と嗜好用大麻の違いとは?アメリカにおける大麻利用

Cannabis

日本において大麻には医療用、嗜好用という区別はなく、大麻取締法によって栽培・所持などに関しては違法となっています。

しかし、一方アメリカでは医療用大麻は33の州で、嗜好用大麻は11の州で合法、カナダでは国家単位で合法化されるなど、世界的に大麻の取り扱いが見直されています。

大麻の再評価については合法化や少量の大麻の所持や使用を非犯罪化するといったことを行う国があり、また、アジア圏においてもタイが医療用大麻を合法化、お隣韓国でも一部、医療用大麻製剤の使用を許可するといった変化も起きています。

このような状況の中で、日本にも大麻に関する海外の情報が入っては来ますが、実際のところ「医療用大麻」と「嗜好用大麻」っていったい何が違うの?という疑問を思っている方も多いかと思います。

そこで、今回は医療用大麻と嗜好用大麻について、アメリカを例にご紹介させて頂きます。

医療用大麻と嗜好用大麻を分ける主な要素

医療用大麻と嗜好用大麻も「大麻」ということに違いはありません。

では両者の何が違うのか?

両社は主に使用方法や目的、法律によって区別されると言えます。

日本では大麻自体が規制されているので医療用、嗜好用という区別はなく、大麻取締法によって規制されています。このため、この記事では両者の違いを明確にするため、アメリカを例にとって説明していきます。

アメリカの連邦法と州法の大麻の取り扱いの矛盾

最初に、アメリカを例にして説明する前提として、アメリカは連邦制をとっており、日本でいう「都道府県」のようなものが「州」という形で存在し、これら州毎に立法・行政・司法機関があります。

ここでの注意点は依然としてアメリカでは連邦法の下では大麻は違法でありますが、「州」によっては「州法」で医療用大麻と嗜好用大麻が合法となっているところがあるという点です。

州は「州法」と呼ばれる法律により、各種規制があります。

州によっては医療用、嗜好用含む大麻の使用可能な年齢や、所持可能な数量など違いはありますが、今回は一つの例としてコロラド州を例に説明していきます。

医療用大麻と嗜好用大麻を分ける主な要素

  • 法律、ルール、規制
  • 使用用途
  • 大麻に含有する成分比率や量
  • 購入場所の違い、購入体験の違い
  • それぞれが受けることのできるサービス、特典の違い

医療用大麻とは

日本語では医療用大麻と訳されますが、アメリカでは「Medical cannabis」や「Medical Marijuana」と呼ばれています。医療用大麻は「植物の大麻」又は「大麻で生成される化学物質」が利用され、さまざまな疾患や症状を治療することを目的に使用されます。

医療用大麻は特定の症状の緩和や治療への効果を最適化するために含有されている成分比率を調整してあるものや、難治性のてんかん治療薬として、国の認可を受けている「エピディオレックス(Epidiolex®)」のように大麻より特定の成分を抽出して医薬製剤となっているものがあります。

医療用に使われる大麻の化学物質は主にTHCとCBDですが、大麻の中にはその他にも100種類以上のカンナビノイドが含まれており、カンナビノイド以外にもテルペンやフラボノイドといった物質も含まれています。これらにはそれぞれ別の効果があり、同じく医療的に利用されることがあります。

※THCについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください

※CBDについて詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください

医療用大麻の購入について

医療用大麻は嗜好用大麻ともに一般的には大麻を専門に扱う「ディスペンサリー」と呼ばれるお店で購入することができます。

ディスペンサリーには嗜好用大麻のみを取り扱う店舗、医療用大麻のみを取り扱う店舗、両方を取り扱う店舗があります。ディスペンサリーを運営するには政府からの「ライセンス」が必要であり、医療用大麻を取り扱うには嗜好用とは別に「医療用大麻を取り扱うためのライセンス」が必要となります。

また、医療用大麻を扱うために教育されたスタッフも必要であり、スタッフが医療的なアドバイスを購入者に行うことも可能です。

医療用大麻を購入するには、有効な年齢を証明できるIDの提示以外に「医療用大麻カード」の提示が必要になります。

医療用大麻カード(Medical Marijuana Card)とは

医療用大麻を購入するには、医療用大麻カードの提示が必要です。カードの申請・発行には、それぞれの州で定められた特定の病気や症状又は登録資格を満たしていれば申請が可能です。

カードを持つ患者には通常の嗜好用大麻の消費者とは違ったサービス・特典を受けることができます。 州によって違いはありますが、下記が一般的な医療用大麻カードによって受けることのきる主なサービスと特典です。

  • 税金の控除があり、嗜好用大麻の消費者よりも安く購入することができる
  • 一般の人では購入できない、高濃度のTHCを含有した大麻製品の購入が可能
  • 一般の人よりも多くの大麻、大麻製品の購入が可能
  • 特定の医療ケースの場合(例:がんやてんかん)は未成年者でも合法的に大麻の使用が可能
  • 医療患者は、自分で大麻を栽培することを許可される場合がある(または、嗜好用大麻の消費者よりも多くの大麻を栽培をすることが許可されます)
  • 大麻を使用する場所の制限がない

アメリカのコロラド州の医療用大麻に関する規制

アメリカのコロラド州を例にすると、医療用大麻を使用するには、医療大麻プログラムに登録する必要があり、これにより大麻が必要な病状の患者は医療用大麻に合法的にアクセスするための「医療用大麻カード」を受け取ることができます。 登録はコロラド州公衆衛生環境局によって管理され、カードはコロラド在住者が利用でき、州内でのみ有効となっています。 医療用大麻を利用するには下記の要件がコロラド州法で定められています。

コロラド医療用大麻プログラムへの登録資格

登録が可能な特定の医学的病状及び状態

【特定の病状】

  • がん
  • 緑内障
  • HIVまたはAIDS
  • 悪液質(カヘキシー)
  • 断続的な筋肉痙攣
  • てんんかん発作
  • 激しい悪心、嘔吐
  • 激しい痛み ​

【特定の医学的状態】

  • 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
  • 自閉症スペクトラム障害
  • 医師がオピオイドを処方するような状態

  【登録要件】

成人が医療用大麻カードの資格を得るには、以下の要件が必要

  • コロラド州の住民であること
  • 18歳以上であること
  • 登録に適格な医学的状態であること

未成年者は次の場合に医療用大麻カードを申請する資格があります。

  • 未成年者と主な親はコロラド州の住民であること
  • 未成年者には適格な医学的状態であること

嗜好用大麻とは

日本語では嗜好用大麻と訳しますが、アメリカでは英語で「Adult use」や「Recreational」と呼ばれています。

嗜好品としてタバコやアルコールと同じく、使用により「ハイ」「陶酔」「多幸感」と言われる効果などを楽しむことを目的としているものです。

嗜好用大麻と言ってもその製品の種類は多種多様で、食品からサプリメント、濃縮されたものや電子タバコなど幅広くあります。

嗜好用大麻の購入について

アメリカでは州によって大麻に関する規制に違いがありますが、概ね使用の条件に関してはアルコールやタバコと同じく20歳以上または成人であり、自身の年齢や身分を証明できるIDを持っていれば、大麻を専門に扱うディスペンサリーにて購入が可能です。

嗜好用大麻には、様々な品種・種類があり、含有する成分の比率、効果などの違いに加えて、食品やオイルなど摂取方法も多岐に渡り、自身の嗜好にあったものを選ぶことが可能です。

嗜好用大麻は一般的には医療用の大麻よりも税率が高く、嗜好用大麻を専門に扱うディスペンサリーでは販売するスタッフが消費者に対して医療的なアドバイスをしてはいけないことになっています。

アメリカのコロラド州の嗜好用大麻の規制

アメリカの嗜好用大麻の規制の例として下記にコロラド州の嗜好用大麻についての規制となります。購入や売買、使用年齢や場所について規制があります。

1、購入や売買について  【年齢制限】

  • 21歳以上でなければいけない
  • 21歳未満の人がマリファナを購入、所有、または使用することは違法
  • 21歳未満の人にマリファナを譲る、販売する、共有することは犯罪
  • 購入の際は21歳以上であることを証明する有効なIDを提示する必要がある

  【購入制限】

  • ライセンスが発行され認可されている販売店でのみマリファナを購入可能
  • 21歳以上の成人は、一度に1オンス(約28 g)までのマリファナを購入してできる

 【販売の制限】

  • 認可を受けた販売業者のみがマリファナ製品を販売できる
  • 21歳以上の成人は、21歳以上の別の成人に最大1オンス(約28 g)のマリファナを譲渡する ことができますが、販売することはできません。これは自家製の製品も含まれます。

2、使用について  【使用量】

  • 21歳以上の成人は、最大1オンスのマリファナを摂取できます。それ以上の摂取した場合、罰金が科せられる可能性があります。

 【使用場所】

  • 公共並びに公共施設での使用は違法です マリファナの使用(喫煙、食事、または電子タバコ)は、公共の場での使用は禁止されています。下記の屋外・屋内エリアに関するリスト及びさらに多くの場所が含まれています。

    – 歩道
    – 公園および遊園地
    -スキーリゾート
    -コンサート会場
    -ビジネス
    – レストラン、カフェ、バー
    – アパートの建物またはマンションの共有エリア

  • 連邦の土地での使用は違法 大麻は連邦法の下では依然として違法であるため、国立公園や国有林などの連邦の管轄する土地では使用できません。これにはスキー場なども含まれます。
  • 使用が推奨される場所 私有地での使用を推奨します。ただし、財産所有者は、財産に対する大麻の使用と所持を禁止できるため。賃貸契約の場合など、自宅でも大麻を使用できない場合があります。
  • ホテルの所有者は、所有するホテルでの大麻の使用と所持を禁止できるため、ホテルの部屋でも大麻の使用ができない場合があります。コロラド州では滞在する場所での使用を必ず確認してください。

 【職場での薬物検査】
嗜好用大麻の合法化した下でも、雇用主は依然としてマリファナの検査を行い、薬物検査の結果 に基づいて雇用決定を下すことができます。使用の前には、職場のポリシーを必ず確認してくだ さい。

まとめ

このように医療用大麻と嗜好用大麻の違いについて、両者ともに大麻であることに違いはありませんが、それぞれに関わる法律、使用用途によって違いがあります。また、医療用大麻カードを持っている医療患者と一般的な消費者では大麻にかかる税金の控除や購入できる商品、使用できる場所等によって違いが出てきます。

医療用大麻にはMedical gradeやMedical Qualityと謳っているものや、その症状に合わせて品種改良されたものなどはありますが、大麻自体に明確に、これは「医療大麻」、これは「嗜好用大麻」という決まった基準がないため、そこまで大きな違いはない印象です。

例えるなら有料会員と無料会員のような違いで、有料会員の方が選択の幅や自由度が大きい。無料会員は最低限の選択幅しかなないといったような例えがわかりやすいかもしれません。

また医療大麻カードは取得や更新に費用が必要であったり、手間を考えて申請や更新をしない患者もいるようです。医療用大麻、嗜好用大麻が合法な州では特別な病気でない限り、嗜好用と言われる大麻でも医療用と同じような効果を得られるので、実際の消費者の中では医療用大麻と嗜好用大麻の境界というのはもっと曖昧なのかもしれません。

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