カナダの大麻合法化から1年、合法化による経済効果や今後の課題は??

Cannabis

カナダでは2018年10月の国内での嗜好用大麻の全面的な合法化が行われました。これは世界では国家単位で大麻の合法化を行った2番目の国となりました。2019年はカナダにとって実験ともいえる1年になったと言えます。今回はカナダでの嗜好用大麻合法化の1年目経過後の市場規模や経済などの変化について紹介させて頂きます!

カナダの合法化初年度、大麻製品の市場売上

2018年10月の合法化からの1年間。この期間での市場売上は政府の公式発表では9億800万ドル (約1000億($1=100円換算))となっています。

これが大きい数字なのかというと、当初は15.6億ドル~43.4億ドルとの予測もあり、これには及ばない数字となっています。

供給不足による売り上げの伸び悩み

予測に及ばなかった理由としては国内の嗜好用大麻需要に対して供給が追い付かず、「売り切れ」となってしまっていたことが一つの要因とされています。

しかし、供給不足との闘いにもかかわらず、月間売上高は、2018年10月の最後の2週間の売り上げが$39.58 百万ドル(約40億円)、2018年11月月間売り上げが$52.32 百万ドル(約52億円)だったのに対し、着実に増加し、2019年の8月には過去最高の$124.58 百万ドル(約125億円)、9月には$121.45 百万ドル(約121億円)に達しました。

10㎞圏内に大麻を買うお店が無い?!

カナダもアメリカのように連邦国家という体を取っており、各州があり、各々の州法により大麻に関する規制があります。

その規制の違いから、2018年に嗜好用大麻が合法化されたものの、州によっては嗜好用大麻の販売店であるディスペンサリーが少ない、オンラインでしか購入できないといった状況がありました。

その為、オンタリオ州には4月1日まで物理的な店舗がなく、4月1日以降にようやく24店舗がオープンされました。つまり人口から一人当たりの店舗数を割った場合なんと596,666人に1店舗しか営業していないことになります。

別のアルバータ州では、366店舗の認可されたディスペンサリーが営業しており、同じように人口当たりで換算するとアルバータ州では11,942人に1店舗と、オンタリオ州と比較すると50倍の差があるような状況でした。

またカナダ政府の調査によれば、カナダ人の50%以上の人が住んでいる場所の10㎞圏内にディスペンサリーが無いことが報告されています。

上記のような調査結果にも関わらず、最終的にはオンタリオ州は、合法化の後の最初の年度で最大の2億1,700万ドル(約217億円)を販売し、続いてアルバータ州が1億9,574万ドル(約200億円)を販売しました。

単純な計算ではありますが10㎞も離れたと販売店へ赴き嗜好用大麻を購入する人が多くいるようです。

カナダは世界で2番目に国家単位で大麻が合法化された国

カナダは2番目ですが、1番目は南米の「ウルグアイ」です。

ウルグアイが世界で最初に合法化を行った国でありますが、実はもともとカナダは合法化以前から世界で1番大麻の使用者が多い国として知られていました。

現在も首相であるジャスティン・トルドー氏は、首相になる以前、自由党の党首だったころに大麻の合法化を公約として掲げていました。この合法化はトルドー首相の公約を実現するとともに、国内の世論調査で何度も大麻の合法化に過半数以上が賛成だったことの民意に沿ったものであるとも言えるでしょう。

アルコールの消費への影響

嗜好用大麻はしばしば、アルコールやタバコに変わるものとして議論されています。

カナダでもお同じくアルコール消費との関係が調べられていますが、まだ1年間という短い期間であることから、アメリカと同様に著しいアルコールと大麻の消費の増減への影響は見られません。

調査に使用できる期間が短いこともありますが、アルコールと大麻の作用に関しては、はっきりとした違いがあるため実際には影響が出ないのではとも言われています。

大麻の闇市場について

世界各国で大麻を合法化する一因とされているのが、現在ある大麻の闇市場を無くし、大麻市場を政府レベルでコントロール、闇市場から犯罪グループへ流れる大量の闇資金を絶つという事も一つとして挙げられます。

カナダも合法化のプロセスの早い段階で、合法化で得られる税収を生み出すことよりも、闇市場を追い出すことであるとしてきました。果たしてカナダの闇市場は1年目で駆逐されたのでしょうか?

下記はカナダ政府の調査による、合法化後の大麻の入手ルートの割合となっております。

  • 合法的な入手:48%
  • 闇市場からの入手:40%
  • 友達や家族からの入手(合法であるが違法になる可能性もある):42%
  • 個人で栽培又は他人が栽培したものを入手(合法であるが違法になる可能性もある): 6.8%


この結果をみれば、まだまだ闇市場での大麻取引を絶つには至っていない状況です。この要因としては、政府が主導とする大麻の市場価格と闇市場での大麻の価格にあまりにも差があることが挙げられます。

この闇市場との価格競争は未だに倍近くの差があると言われておりますが、カナダの州の一つであるケベック州ではこれに対する対策がとられ、生産者から小売店へ直接大麻を流れるように流通経路にテコ入れし、実際に消費者が手に入れる価格を下げることに成功しているようです。

これにより、他の州よりも市場売上の増加が見込まれています。これは闇市場との競争に良いモデルケースの一つとなるとされ、他の州が追随しすれば、今後カナダ国内の闇市場が縮小するキッカケになる可能性があります。

まとめ

記事で紹介させて頂いたように、カナダはアメリカのように州制度を取っているため、それぞれの州によって大麻に関する規制があります。州によって市場の伸び率の大小はあるものの、全体的な市場規模で見れば増加傾向が継続しているようです。

当初は全体的な供給不足等の問題もありましたが、各々の州で違った規制を行っていることにより、多岐に渡る大麻に関わる政策・施策があり、今後それらの成否によって複数の失敗、成功のモデルケースが出ることでしょう。

2020年となり、カナダは大麻合法化の2シーズン目を迎えましたが、カナダの現状は世界的に見れば国規模での実験中の段階であるとも言えます。今後は食用製品(Cannabis Edibles)も市場に登場するため、2シーズン目も見通しは明るいようです。

アメリカと同じく今後のカナダでの大麻合法化によって生み出されるさまざな結果が、世界的な大麻の合法化の流れにも影響を及ぼすことは間違いないでしょう。

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