アメリカの複数の州での大麻合法化をきっかけとした「グリーンラッシュ」と呼ばれる大麻産業の急速な発展。これを背景に、健康、医療、美容におけるCBD市場もアメリカ・ヨーロッパを中心に世界的なトレンドになりつつあります。日本でもCBDへの関心は高まっています。そこで、CBDが何なのか気になる方、購入や使用を検討している方、そんな方々に向けて今回は「CBDの安全性」についてご紹介いたします!
CBD(カンナビジオール)とは
CBD(カンナビジオール、英:Cannabidiol)とは、植物の大麻で生成されるカンナビノイドと呼ばれる成分の一つです。大麻由来の成分と聞くと「麻薬」を連想されるかもしれませんが、CBDは
「陶酔」や「ハイになる」といった症状を引き起こさない成分です。また、WHO(世界保健機関)でも安全性と一定の効果、効能があることが報告されています。
医療、美容、健康といった幅広い分野での効果が期待されており、アメリカ・ヨーロッパを中心に効果を利用した数多くのCBD製品が販売されています。
アメリカでは大麻由来の成分(CBD)を利用した医薬品として初めて「エピディオレックス(Epidiolex®)」が、国から認可され、難治性のてんかん治療薬として処方されています。
CBDの効果とは
CBDの人への効果や効能、どのように身体に作用するのかについては、世界各国でさまざまな研究や臨床試験が、現在も行われています。
CBDの効果は医療、美容、健康と幅広く、また、植物由来であることから、副作用が少ないことも注目される理由です。
下記はCBDの効果、効能として期待されている一部と関連する疾患になります。
- 抗不安
全般性不安障害(GAD)、社会不安障害(SAD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)など - 抗菌
- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
多発性硬化症、関節リウマチ、大腸炎、肝炎など - 骨組成の促進
- 発作とけいれん
ドラべ症候群、レノックスガストー症候群などの難治性てんかん - 血糖値の低下
- 食欲抑制
肥満など - 免疫抑制
関節リウマチ、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、クローン病、潰瘍性大腸炎など - 神経保護作用
アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など - がんの成長を阻害する
- 疼痛緩和
関節炎、多発性硬化症、片頭痛など - 血管弛緩作用
- 悪心、嘔吐の減少
がんの化学治療やエイズ治療の副作用の緩和 - 皮膚病
乾癬、アトピー性皮膚炎、ニキビなど
これらの効果効能は、抗けいれん(てんかん)のように実際に研究により実証されているものもあります。しかし、その多くが海外の初期段階での研究、使用者や患者が実際の体験談的に報告される事例証拠であり、あくまでもCBDの効果としての可能性を示唆され、期待されているものです。
大麻自体がアメリカや各国も最近になって合法化されたこともあり、研究がまだまだ行われているところです。
CBDは身体にとって安全なのか
現在、CBDはアメリカを中心に一般的に普及しています。日本でもCBDへの関心が高まり、多くのオンラインショップや店頭では多くのCBD製品を見つけることができます。
大麻由来の成分なので実際のところ本当にCBDは安全なの?という疑問をもつかたもおられるかと思います。ここではCBDの安全性についてご紹介します。
CBDでハイになりますか?
CBD でハイになりますか?という質問がありますが、答えは「いいえ」です。CBDは大麻由来ではありますが頻繁にイメージされる「ハイ」の状態になるような作用はありません。なぜならば、大麻を使用し「ハイ」「陶酔」「多幸感」と感じる状態に関与している成分は、同じ大麻由来のカンナビノイド成分であり、精神活性作用のあるTHC(テトラヒドロカンナビノール)だからです。
日本においてはTHCは「大麻取締法」及び「麻薬取締法」により、規制されているため、所持、使用、購入などは違法となります。これにより、日本で購入可能なCBD製品には原則としてTHCが含有していてはいけないため、どのCBD製品を購入しても「ハイ」にはなりません。
また、CBD製品に配合されているCBDの多くも、ヘンプ(産業用大麻)由来がほとんどです。ヘンプとは大麻と同じアサ科の植物ですが、THC含有量が0.2や0.3%以下であり、万が一ヘンプ由来のCBD製品にTHCが含有していたとしても、0.3%以下では身体に影響がないとされています。
CBDで過剰摂取(オーバードーズ)になるのか?
WHO(世界保健機関)の調査報告でもCBDの安全性は認められています。同じく研究でも、CBDの毒性は非常に低いことが示されています。
少し古いものになりますが、1981年の研究では、サルにCBDを静脈内投与した場合、CBDのLD50は体重1 kgあたり212 mgであるという結果が出ています。これは、言葉がおかしいですが過剰摂取(オーバードーズ)になる為には、人が比較的短期間に、CBDの平均的な1日の摂取量である30mgの何百倍も消費しなければならないことを示唆しています。
参考として、75 kgの体重のAさんをイメージしてください。このAさんからLD50を計算すると、数値上では、Aさんが短時間にCBDを約18,750 mg(18.75 g)摂取すると、命の危険にかかわる影響を引き起こす可能性あるという数値です。
このような致命的な結果を引き起こすのに十分なCBDを摂取することは、意図的に危険な状態になるために、この量のCBDを摂取する以外には考えられません。
国際機関によるCBDに対する安全性の評価
CBDについてのWHO(世界保健機構)による調査報告書の概要
2017年に発表されたWHO予備調査の報告書の概要では、CBD(カンナビジオール)には健康に有害性がなく、複数の医療用途があると報告されています。
また、天然由来(合成ではない)のCBDはヒト(および動物)において安全性・耐容性が高く、公衆衛生上の悪影響を伴わないとし、加えてCBDは身体的依存を誘発せず、「乱用の危険性はない」とも述べられています。
※英文ではありますが、原文詳しくはこちらをご参照ください。
WADA(世界アンチ・ドーピング機関)によるCBDの禁止薬物リストからの削除
WADA(世界アンチ・ドーピング機関)とは、禁止薬物リスト・検査・分析などの国際的なドーピング検査基準やドーピング違反の罰則規定の作成したり、アンチ・ドーピング活動に関する教育・啓発活動等を目的として設立された独立した国際機関です。
WADAは2018年に禁止薬物リストからCBDを除外しました。これはアスリート選手が、国際大会においてCBDを使用してもドーピングとみなされないということです。もちろん、日本やその他の国では、大麻やCBDに関する法律がそれぞれ違うため、その国の法律を守っている前提ではあります。
CBDの摂取で気をつけないといけないこと
CBDはWHO(世界保健機関)によって「CBDには健康に有害性がなく、複数の医療用途がある」また、「身体的依存を誘発せず、乱用の危険性はない」と報告されていますが、少なからず副作用が報告されています。
報告されているCBDの副作用
CBDの副作用として報告されている症状は下記になります。効果の体感などと同じく副作用を感じるか感じないかというのも、かなりの個人差があるとされています。
副作用が出やすいのは医療目的などで使用される高濃度のCBDを多量に摂取したときに多いともいわれています。また、CBDの効果・効能の幅が広いために、CBDの良い効果が人によっては副作用と感じることもあるようです。例として、CBDの効果の一つに抗ストレス、リラックス効果がありますが、これが状況や人によっては倦怠感や疲労感、眠気として感じられる場合があるという事です。
- 疲労感
- 眠気
- 下痢
- 食欲減退
- 口が乾く
- 血圧が下がる
CBD摂取後の運転
CBDの摂取後の運転は控えてください。CBDにはリラックス効果があるとされていることや、副作用に血圧が下がる、眠気といったものが報告されているため、運転前にCBDを摂取した場合、これらの効果や副作用が交通事故の原因になりかねません。
CBDと薬との飲み合わせ
CBDには、使用者が現在治療している何らかの症状のために、医師から処方され服用している薬とを服用している場合、CBDと併用することにより危険な副作用が出る可能性があるため注意が必要です。使用前には医師との相談をお勧めいたします。
※薬との飲み合わせなどに関して詳しくはこちらの記事を合わせてお読みください
CBDの多量摂取による肝機能障害の可能性
マウスを使ったアメリカの研究の報告の中では、CBDの使用が人間の肝臓にダメージを与える可能性があるという事が示唆されました。また、アメリカで唯一、大麻由来の成分であるCBDを利用し、医薬品として認可を受けている「エピディオレックス(Epidiolex®)」の臨床試験においても、肝臓機能への副作用によって試験から離脱した被験者がいるという事も報告されています。
しかし、これらに関しては懐疑的な意見も多いく、言えることはマウス使った研究でも、エピディオレックスの臨床試験ともにかなりの高濃度、高用量のCBDを摂取していたことが肝臓への影響の原因でであるようです。
まとめ
今回はCBDの安全性についてご紹介しました。大麻由来なので、私達のイメージだと危険なのではと思ってしまいますが、CBDは世界的にもその安全性は保障されていると言えます。しかし、少なからず副作用もあるので、使用における効果と共にリスクも理解し、考慮する必要があります。
日本でもCBDが注目され始めてきているCBD。この記事が少しでも皆さんの正しい知識を得るお手伝いになれば幸いです。
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